2008年4月20日日曜日

上村松園「姉妹三人」


 『姉妹三人』では,女性が立って本を読む姿が描かれている。奧のおそらく長姉が絵双紙を左手で持ち,右手で面を押さえている。手前の末妹は,右手を自分の口元にあてている。

 時代は,明治初期らしい。このような立った姿勢で,長時間,三人で読み続けるとは思われないので,この箇所だけを見ているのだろう。また,この三姉妹は,歳は離れているようので,何かしら三人の共通の関心事が載っていると思われる。

 三人姉妹の親密さが感じられるとともに,末の娘の若さを強調した薄いピンクの着物が前面に位置しているので,華やかでもある。ずっと見ていると京都弁が聞こえてきそうである。


 上村松園が描く女性は,みな姿勢がよいが,その姿勢は考え抜かれていて,これ以外ないと思うほど完璧である。本ではなくて,持っているのはうちわであるが,九条武子がモデルと言われる『月蝕の宵』では溌剌とした動きが,見事に切り取られている。